フリマアプリ大手のメルカリが、2025年9月1日から「胎児のエコー写真および類似商品」の出品を禁止すると発表しました。
これは、SNSで話題になった悪用事例、いわゆる“妊娠詐欺”への対応策としての決断です。
本記事では、その背景と現状、また対策の課題について詳しく解説します。
出品禁止の概要と背景
メルカリは、2025年8月25日に以下の方針を発表しました。
- 出品禁止品目に「胎児のエコー写真およびそれに類するもの」を追加
- 9月1日から順次削除・非表示とし、出品者には取り下げ依頼を実施
この措置は、妊娠詐欺行為がSNS(X)上で拡散したことを受けた対応です。悪用手口は巧妙で、購入したエコー写真や妊娠検査薬を提示し、「妊娠した。堕胎費用を払ってほしい」と金銭を要求するという事例が報告されました。
実際に6,000円などの高額でエコー写真が「即完売」するケースも見られ、SNS上では「暗闇の市場」として衝撃を受ける声が相次ぎました。
詐欺手口の実例とメルカリの対応


ある30代女性は、複数の男性と関係を持ち、いわゆる“証拠”としてメルカリで購入した妊娠検査薬やエコー写真を使って「妊娠した」と嘘をつき、中絶費用や生活支援金として合計100万円近くを騙し取ったと告白しています。
メルカリ側は「定期的な禁止出品物の見直し」の一環として今回の対応を行ったと述べていますが、SNS上では「禁止より先に対処すべきだった」「規制が追いついていない」との批判の声もありました。
さらに必要な対策と今後の課題
陽性の妊娠検査薬そのものも詐欺に使われているため、これらも併せて禁止リストに加えるべきだという意見が出ています。現状、出品できなくなっているものの、“ドッキリグッズ風”などでごまかし、出品を続ける事例も報告されています。
詐欺を成立させる巧みな心理操作や感情的プレッシャーの手法が存在する以上、プラットフォーム側の監視体制と利用者のリテラシー向上の両輪が必要です。
まとめ

メルカリが胎児のエコー写真の出品を禁じる判断は、フリマアプリという身近な場で発生した“命のイメージの悪用”を未然に防ぐ、重要かつ評価できる対応です。
しかし現状では、すでにネット上に流通してしまったデータは完全には回収できず、詐欺手口の巧妙化にも対応しきれないのが実情です。
今後、妊娠検査薬の取り扱いや、SNS上での詐欺行為の拡散防止を含めた包括的な対策が求められます。
プラットフォーム運営側には、より厳しい監視とガイドラインのアップデートが不可欠であり、私たち利用者にも正確な情報と判断力が求められています。